雑記帳

電子計算機の"明後日"から、他愛もない話まで。

挙動不審になったFMV-KB611の修理

そういえば、書こうと思って忘れていたネタがありました。

今年の冬場に、職場で使っているFMV-KB611の調子が悪くなってしまいました。具体的な症状は以下のようなものです。

  • PCの電源投入後、キーボード入力が一切行えない
  • PCの電源を入れた時、キーボードマイコンのセルフチェックが上手く通っていない

    (LEDが全消灯→全点灯(数百ms)→全消灯と、フラッシュするのが正しいのですが、フラッシュせずに最初からNumLockが付きっぱなしだったり、全消灯のままだったりします)

  • たまに正常動作する

    起動時に現象が起こらなければ、使用中におかしくなったりすることはない

  • 活線挿抜すると、動くようになったり、やっぱり動かなかったりする
  • スリープ復帰時にも似たような現象が起こることがある
  • 自宅に持って帰ると再現しない
  • 午後等、部屋があったまると再現しにくい

ちょっとこの現象には見覚えがありました。以前に本体ページのゲストブックにて、ゾロさんとやりとりしたときの現象と似ています。

 

現象から察するに(特に、LEDのフラッシュが無いことから)、多分キーボードマイコンのリセットが上手くかかっていないんじゃないかなー…と判断しました。

本当はオシロか何かで現象をつきとめたかったところですが、午後の再現率が落ちるのと、とりあえず手っとり早く動くようにしたかったこともあって、今回は見送りました。

原因は果たして、単純にキーボード側のケミコンがへたったからなのか、職場のPCがへたってきたのか、それとも社内環境の問題か…(空気の乾燥とはあまり関係なく、異様に静電気が溜まるんですよね…。)

 

職場のPCを改造するわけにはいかんので、とりあえず、今回はキーボード側に細工することで対策することにしました。

変更前後の回路図は以下です(部品のピン配置だけ実体配線図風味)。

イメージ 1

オリジナルのリセット回路はCRで組まれていました(色が判りづらかったので、抵抗の値は勘です)。これだと、電源事情が悪い場合にリセットが掛からない可能性があり(電源の立ち上がりが緩慢だと、動作可能になる前にリセットが外れる、放電しきらないと次のリセットがかけられない等)、なんだかここが犯人臭い気がしました。

今回は、リセット回路にリセットICを使うように改造しています。これによって、起動時の電源事情が悪くても確実にリセットをかけてくれるはずです。

使用されているマイコン(沖電気 MSM83C154S)の動作下限電圧は意外にも低く、3.0V以上でしたので、リセットICの閾値には4V程度のもを使っています。

正論理のリセットというのもはじめて見ましたが…昔はそういうのもあったんですかね…(仕事で触る石といったら古くても旧三菱系止まりで、最近はARM系ばっかりの若造です…)。流石に正論理固定のリセットICなんて見つからなかったので、簡単なインバータをつけてます。

また、おまじない程度に電源部分へ固体電解を追加しておきました。

 

参考として、改造後の写真を掲載します(青丸部分が改造箇所です)。

イメージ 2
イメージ 3
あまり綺麗な出来ではないですねぇ…。一応、混沌としている部分は後でアセテートクロステープで絶縁しています。

 

ひとまずこの改造を入れることで、職場でも現象は発生しなくなりました。既に3~4カ月経過していますが、再発したり、別の変な現象が出たりすることもなく、すこぶる安定しています。もし同様の現象でお悩みの方がいましたら、参考にして下さい。

 

尚、実際に試してみようという方がいらっしゃいましたら、少し注意点があります。

今回は千石で見かけたミツミのリセットIC PST600Dを使いましたが、かなり前にディスコンになった石のようで、現在は入手困難です。

MicrochipのTCM-809J等が代品として使えますので、もし入手できなかった場合はこちらを使って下さい(こちらは秋月で買えます。閾値4.0Vです。ピン配置が異なるので注意して下さい!!)

あと、当然ですが改造後はメーカ保証外となりますし、修理を申し入れても断られたりする可能性がありますので、実行に移す際は自己責任でお願いします。